「テスコ(Tesco)」というスーパーマーケットがあります。イギリス最大手だそうです。
テスコ(Tesco)はイギリスのウェリン・ガーデン・シティに本社を置く多国籍小売企業で、1919年にジャック・コーエン氏によって創業されました。第二次世界大戦後、セルフサービス方式をいち早く導入し店舗運営の効率化を推進。1990年代にはイギリス国内市場で圧倒的なシェア(30%超)を獲得し、国内小売市場をリードする存在となりました。(Perprexity「テスコ(小売チェーン)の歴史と主要国展開」)
「会社のカミ・ホトケ 経営と宗教の人類学」(中牧弘允著 ,講談社,2006年)という書籍を読んでいたら、このスーパーマーケットとキリスト教に関する興味深い言及があったので、紹介させてください。
テスコの空間はカトリックのキリスト教会と同じ構成をしている…らしい
テスコはこんなスーパー

カトリックキリスト教会ってこんなカンジ
(7:00あたり~教会堂内部がわかる感じです)


イギリス人社会人類学者ルエラ・マツナガによると、大手スーパーのテスコは一九九〇年代のなかばにリテール・デザイン会社によるキリスト教会(=神殿)の内部構造をモデルにした商品配置の提案をうけいれた。(引用:「会社のカミ・ホトケ 経営と宗教の人類学」p.179,中牧弘允著,講談社,2006年)
すなわち、宗教的空間のたどる道程を「物語性のある旅」に比し、せまい入り口を抜けると、そこはひろい空間となり、中央通路あるいはネーブ(教会堂の身廊)をへて、目的地であるカトリック教会や英国国教会の祭壇に向かう。祭壇は舞台と同義に解釈でき、祭壇の背後のレレダス(装飾壁)は舞台の背景とおなじとみることができる。(引用:「会社のカミ・ホトケ 経営と宗教の人類学」p.179,中牧弘允著,講談社,2006年)
ちょっとイラスト解説してみます。

これは、一般利用客も従業員も特段意識しているハナシではないらしいですが
しかし、ここで見逃してならないのは、文化資源としての宗教がビジネスの世界に応用され、人びとには自覚的には認識されていないとしても、自然と利益の向上につながっていく点である。(引用:「会社のカミ・ホトケ 経営と宗教の人類学」p.181,中牧弘允著,講談社,2006年)
日本で使える知識か?
では、コレは日本のスーパーマーケットに応用できる知識か?…というと、そうでもないようです。
テスコは日本から2013年に完全撤退
日本市場には2003年に参入し、既存企業を買収して展開したものの、業績不振で2011年に撤退を発表し、2013年に完全撤退しました。(Perprexity「テスコ(小売チェーン)の歴史と主要国展開」)
日本に進出してきたテスコが、この空間設計までそのまま持ち込んできたのかは不明なのです。しかし、2013年に完全撤退していたということです。
日本のスーパーで寺社仏閣の空間を売り場に応用した例はない
では、「日本なら寺社仏閣の空間設計をもってスーパーを作ったら、イギリスにおけるテスコ並みに盤石なスーパーマーケット経営ができるのでは!?」
…と考えている経営者がいたかというと
日本のスーパーで神社や寺院の室内空間を売り場に応用した例は寡黙にして知らない。(引用:「会社のカミ・ホトケ 経営と宗教の人類学」p.181,中牧弘允著,講談社,2006年)
…いないのかもしれません。(2006年の書籍しか読んでないので、2025年現在の実際は不明ですが)
ただし、中牧氏は「日本においては『企業博物館』がコレと同じような例(神聖な意味を象徴的に表出した存在)だ」と、同書で解説しています。
ちょっと興味深い話だったのでご紹介しました。イギリスで「テスコ」に行く機会がある方、よかったら意識してみてください。そしてどんな感触だったか教えていただけると嬉しいです。
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